MY MINORITY

不器用ですが暇つぶしになれば。ちょっと情緒不安定な東大生

現役東大生○○への嫉妬心

 ホテルのオーナー、キャスター、アイドル、ライター、ラッパー、現役東大生という肩書きの後に続く名詞が眩しい。

 

 同じ大学で同じような年代の人が、「特別」な世界にいるような気がして遠い。私は、1万人を超える学生の中の「普通」の一人に過ぎないのだから。

 

 受験に合格した時は、他の人にはない特別な才能があると思っていた。今までは、環境に恵まれていなかっただけで、きっとチャンスが巡ってくると信じていた。与えられた機会を生かせば、どこか見たことのない世界に行けるはずだった。

 

 気が付いたときには、つまらない日常に文句を言うだけの存在に成り下がっていた。勉強して、ご飯を食べて、眠る生活の繰り返し。これまでも、これからも、「普通」の毎日が続いていく。何もしていないのだから、会社を経営することもテレビに出ることも本を出すこともないし、少しも近づいてすらいない。

 

 多くの人に注目されるようなことを、本心からやってみたいと思っているわけではないけれど、なんとかして自分が特別な人間であることを証明したい。このままだと、普通の東大生から普通の東大卒になってしまう。18歳の時の一度きりの結果を何十年も誇りに思って、活躍していく人たちを見下すための理屈を考えるだけの未来へ、全速力で向かっている。

 

 東大生が書いた勉強法の本を書店でみかけたとき、受験の成功体験にしがみついているだけなのに恥ずかしげもなく本を出版できるなと思った。気分がよくなったのは、一瞬だけだった。吐き捨てた言葉は、ブーメランになって、すべて自分に刺さっていたのだから。お前は受験以外の成功体験が思い浮かぶか?大学生活で実績を残したか?将来のビジョンは?そのために努力しているか?何者かになれたか?―言い返せない。その受験ですら、劣等生が東大に合格する物語は、よくあるもので、そのなかの凡庸な一人でしかない。この人のように本を書くほどの経験も人脈もない。恥ずかしいのは、まさしく自分だった。

 いつまで「普通」である自分から目を背けているのだろう。大学前でテレビ局のクルーを見かける度、取材されたらいいなと淡い期待を抱く。そうすれば、「特別」な存在になれる道が切り開かれるような気がするからだ。これまでは才能を見出してくれる人に恵まれなかっただけで、本当はこんなところで終わるような人間じゃない、そんな可能性をまだ信じている。