MY MINORITY

不器用ですが暇つぶしになれば。ちょっと情緒不安定な東大生

東京レインボープライド2018 ちょっと真面目で勉強になるかもしれないレポート

 先日(5/5,5/6)、東京レインボープライドのフェスタとパレードに参加しました。一言で言うと、セクシャルマイノリティーのお祭りのようなものですね。毎年、5月の土日に開催されており、私は今年で3回目の参加になります。記憶が新鮮なうちに、今回はその時の模様をレポートします。今回がフェスタ編、次回がパレード編の2部構成になります。

 

(※以下、便宜的に「LGBT」をセクシャルマイノリティーの意で用います。) 

 

 まずは、大使館のブースから。 

 

(画像に問題があったので、削除しました。カナダ大使館のブースで、仁王立ちの馬のキャラクターのベルトにレインボーフラッグを3つ突き刺しているという写真です。)

 文字通り、とってつけたようなレインボーフラッグですが、同性婚をはじめとするLGBTに対する取り組みが紹介されていました。他には、カナダの航空会社や旅行会社のパンフレットが配られており、読んでみるとカナダの魅力がこれでもかと掲載されていました。イメージアップも大使館の重要な仕事なのですね。 

 

 イギリス大使館のブースでは、国名をもじったLove is GREAT Britainをスローガンに、仲睦まじい同性カップルポートレートが展示されていました。 

 

 北欧5か国(スウェーデンノルウェーデンマークアイスランドフィンランド)は、合同で出展していました。すべての国で、同性婚が認められています。

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 シュールですね。作者であるムンクは、ノルウェーを代表する画家なので、国家として真剣に取り組んでいることを表現したかったのでしょうか。 

 

 その他にも大使館のブースはありましたが、その中からイスラエル大使館を取り上げたいと思います。というのも、ブースで抗議活動に遭遇したからです。ブースの前で、プラカードを掲げていた人々に、許可を得て撮影したのが、次の写真です。 

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 話を聞いてみると、どうやら、イスラエルガザ地区で行っているパレスチナ人の虐殺をはじめとする人権侵害に抗議していることがわかりました。これだけ聞くと、場違いな政治的主張を持ち込んでいるように思えるかもしれません。ですが、抗議をしている人々の主張も理解できなくはないです。イスラエルが、LGBTフレンドリーを打ち出すことで、人権先進国であることを印象付け、イスラエルにとって不都合な人権侵害の事実を覆い隠すという戦略をとっているとも解釈できるからです。

 

 このような戦略は、ピンクウォッシングとよばれています。ピンク、つまりLGBT(に対する取り組み)によって、都合の悪い事実を覆い隠す(=ウォッシング)するという意味ですね。他の中東諸国は、同性愛者を厳しく迫害している国も多いので、イスラエルが人権を重んじる国というイメージがより作られやすいことも、ピンクウォッシングであるという主張を支えているように思われます。 

 

 ちなみに、以前イスラエルの大使館の職員に質問したときには、他の国がどのように主張しようとイスラエルLGBTの人権を守るということ、ただそれだけだ、おっしゃていました。 

 

 イスラエルの軍事行為自体は、厳然たる事実として存在し、いかなる論理でも正当化されるわけではありません。しかし、だからといって、LGBTに対するイスラエルの取り組みそれ自体は、批判されるべきものではないと私は思います。抗議をしていた人々も、人権侵害の事実を覆い隠すイメージ戦略に抗議をしていたわけであって、LGBTを迫害するように求めていたわけではないでしょう。

 

 パレスチナ人に対する人権侵害と、LGBTへのサポート、両者の関係をどのように捉えるかは、それぞれの主観に依らざるを得ません。ここでは、特定の政治的見解を支持することは控えますが、簡単に割り切れる問題ではないことは確かです。一幕の出来事でしたが、いろんなことを考えさせられます。 

 

 本題から大きく外れてしまいましたが、レポートに戻ります。大使館の次は、企業ブースを巡りました。LGBTや性に関連した企業はもちろんのこと、名の知れた大企業も参加していました。 

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 他にも、楽天やグーグル、銀行や金融会社、コンサルタントといった、様々な業種がブースを連ねていました。各社のLGBTに対する取り組みとともに、事業内容が紹介されていました。こうした積極的な姿勢の裏側には、LGBTに寛容であること、LGBT向けの商品を展開することで、イメージアップ、市場の開拓につなげ、収益を上げようといった動機があると思います。実際、日本のLGBT市場は6兆円だとする試算もあり、企業がLGBT対応を進める大きな原動力になっているのは間違いありません。そうして、施策が拡充され、LGBTがより生きやすい社会が作られること自体は、歓迎されるべきことでしょう。しかし、同時に、あやうさも感じます。

 

 収益を上げる、いいかえれば、お金になるから取り組みを行うということは、お金にならなければ取り組まないことの裏返しでもあります。これは極論かもしれません。ですが、投じた費用や時間に見合うだけの利益がない取り組みなら、企業は消極的な姿勢にならざるを得ません。これは、LGBTの中の経済的分断がより深くなることを意味しているのではないでしょうか。

 

 高所得者は、市場から歓迎されて、多くのサービスで恩恵にあずかることができる一方で、低所得者にはその恩恵が届かないことだって考えられます。現状の日本では、そのような状況になっているとは思いませんが、アメリカでは、ホットな話題として取り上げられていると聞きます。こうした議論は「新しいホモノーマティビティー(new homonormativity)」とよばれており、また別の記事で考察する予定です。 

 

 全然、気楽なレポートじゃないですね。あまりにも語りすぎたので、この後はさくさく進めていきます。

 

 大使館、企業ときて、次は大学です。東大と早稲田のブースを紹介します。

 この2つの大学は、出展している点では共通していますが、学内のどの組織が関わっているかが異なります。具体的には、早稲田がGSセンター(ジェンダーセクシャリティーセンター)が、東大は学内のLGBTサークルが合同で、出展という形をとっています。早稲田のGSセンターは、学内の公的な機関であることを考えると、大学全体の熱の入れ方が大きく異なる感じがします。実際、早稲田は、早稲田大学の旗を掲げ、マスコットキャラクターのWASEDABEERがレインボーフラッグのマントを着て、写真撮影に応じていました。

 

 もちろん東大として出展すること自体に意味があり、展示の内容も素晴らしいとは思うのですが、大学当局の関わりという点で少し寂しさが残ります。

 

 その他には、人権団体や労働組合も参加していました。

 

 世界的な人権団体として名高いアムネスティー・インターナショナルのブースもみつけました。300円の募金ごとに、バッジがもらえるというキャンペーンをやっていました。500円を募金したところ、200円のお釣りを返そうとしてくれたところに人の優しさを感じました。エジプトにおける同性愛者への迫害法案に反対する署名も行っていました。アムネスティーについては、パレード編の記事でもご紹介します。

 

 連合(日本労働組合総連合会)のブースにもお邪魔しました。労働組合は、あまり馴染みがなかったのですが、LGBTに対する職場でのハラスメントにも対応していきたいというお話でした。

 近くに、連合のマスコットキャラクターである「ユニオニオン」ちゃん(くん?)がいたので、お願いして記念写真をとってもらいました。連合のことは、よく知りませんが、このマスコットキャラクターが大好きなので、実物に会えて、気持ちも高鳴ります。

 大学生が一人で着ぐるみと記念撮影するのは、少し気恥ずかしかったですが、思い出に残る写真が取れました。

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(※写真は、私の写っているところをトリミングしたものです。)

 

 というわけで、フェスタ編はここまでとします。イスラエル、企業と人権の関係の話は誰に需要があるのかと思いますが、お読みいただきありがとうございました。次回は、パレード編をお送りしたいと思います。パレードに参加したのは初めてです。視線を恐れていた自分が、視線を集める側に回った心境の変化や気づけたことを取り上げます。今回のように暗い話はしません。次回へ続く。